は力強く、地を踏みしめた。そして、きっと真正面を見据える。 「……私負けないから!」 高らかに叫んだの声は、荒涼とした大地に響き渡った。 「……ちゃん、どうしたの?誰かに勝ちたいの?」 結婚の報告のため人間界へ来た蝉玉は、突然叫んだに驚いた。も暇だからと、蝉玉についてきていた。 「ちょっと、妲己に」 「妲己ぃ?」 蝉玉は首を傾げたが、はそれ以上何も言わなかった。 最後の最後に太公望を助けた妲己に。「妲己が助けてくれた」と言ったときの、太公望の表情を思い出しながら。彼をこの世に繋ぎとめた彼女に勝つのは、 わらわに勝つのは、相当難しいわよ? 風に紛れてそう聞こえた。風と一緒に、妲己が笑っているようだった。 戻 2009,03,04 |